Kissシリーズ開発までの道のり

〔開発の背景〕 父をおもう息子の気持ちから 

たおしてもさかさまにしても中身がこぼれない「Kissシリーズ」は、弊社代表飯田吉秋の介護経験からうまれました。 
飯田吉秋の父は、脳梗塞から半身麻痺となりました。リハビリの結果、なんとか介助なしで日常生活をおくれる程度に回復しました。 しかし、もともとあった手に振えと麻痺から、飲み物をこぼす、机に上手に置けないことが増えました。周囲は、コップを机においたままストローで飲むことを進めましたが、こどものようで嫌だと手で「コップ」を持ってのむと、拒否。そのうち、こぼしたら周囲を拭く、洋服を着替えるのを手伝うなど介助をしていた母の負担を考え、父は飲むことを避けるようになりました。

その結果、 何度となく体調を崩したのです。

医師から水分摂取が十分でなかったため、身体のバランスを崩したと伝えられました。このとき、「水分を取る」ことの重要性を医師から説明され、特に高齢者は、乾きを感じることが低下するので、すこしずつこまめに水分をとることが「重要」であることを知らされました。これは、父だけではなく高齢者に多い症状とのことでした。

医者は病気を治せるけれど、デザイナーとして何かできることは無いか、、、。

ひとりでも、すこしでも 負担無く水をのめたら、 父のような思いをさせたくない そこで、高齢者がいつまでも元気で過ごせるように、また健康な生活を送れるように、手のふるえや握力の低下など身体機能の低下が気になりはじめた高齢者がひとりで飲める飲み口の開発を平成16年から開始しました。

〔苦難の連続〕 

高齢者がひとりでのめるためには、さまざまな条件をクリアしなければなりません。
多くの高齢者にヒアリングさせていただき、求められていることがすこしずつみえてきました。

①手の振るえ、握力の低下から「こぼす、たおす」が増える
②飲み物をのむとむせる
③ストローでのんだり「高齢者向け」と一見してわかるものは、すこし抵抗がある
④洗ったり、組み立てたりするのが難しい
⑤消毒ができるほうがよい

これらの要望をもとに、どんな構造が良いかを検討しました。
しかし、なかなか良い方法がみつかりません。検討して試作をしては失敗。そんなことを繰り返しているうちに時間だけがどんどんすぎていったのです。市場調査や構造などの調査、考案、研究に2年半を費やし このままでは、開発を中止しなければならないかというところまで考えていたのです。

〔1つの構造にたどりついた!〕

あるとき、なにげなく眺めていた辞書で「声帯」のしくみをみました。
ちょうどそのころ業務であつかっていた「シリコンゴム」があたまに浮かびました。
そして、

これだ!」とひらめいたのです。

ためしてみたら意外にうまくいきます。これなら何とかなりそうだ。 開発のめどがたった瞬間でした。
やっと納得できる構造にたどり着いた平成18年の秋です。

〔特許取得!〕 

それから簡易サンプルをつくったり、3次元CADでシミュレーションを繰り返し、現在の形にたどり着いたのが平成19年2月。 特許出願から半年、平成19年11月!やっと特許が取得できました。
もれない、こぼれない構造に対して新規性が認められました。
特許第4036888

〔開発にはずみ〕平成19年度第2回「スタートアップ支援事業」に認定 

平成19年10月
特許出願をすませ、本格的な開発に着手。

そこで問題になってきたのが「開発費用」。

やる気はあっても、小さな会社です。もう1歩まできていたのですが、資金がなければ商品化は難しい。 いろいろなところへ相談にいくうちに教えていただいた、中小企業基盤機構の新商品の事業化を支援する助成金制度でした。はじめての申請で、苦手な書類作りと格闘。あらためて事業で「何をしたいか」がはっきりした良い機会でした。
第1回目は残念ながら認められず。もう一度事業計画をみなおして、 2回目のチャレンジで 平成19年度第2回「中小企業・ベンチャー挑戦支援事業のうち事業化支援事業」に、弊社の「高齢者にも飲みやすい機能付き飲み口容器の事業化」が採択され、資金的なめどもたち本格的な開発がはじまりました。

国際福祉機器展に出展

国際福祉機器展アンケート調査 アンケートの結果、商品化 および 商品仕様が決定いたしました! 2008年9月24日~26日 東京ビッグサイトで開催の「国際福祉機器展」でお披露目いたしました。こちらの予想をはるかに超える、3日間で約1500名来小間いただきました。
ありがとうございます。
また、 来場者の方にご協力いただき、約200名のご来場者様に「Kiss」で実際に試飲いただきました。試飲は、予定していた試飲サンプルが午前中で終わってしまうほどの盛況ぶりに、お昼も休憩もないほどの大忙しで、うれしい誤算でした。

「私も試してみたい!使ってみたい」という心強い反応、
「ここで買って帰るから売って」
「こんな商品を待っていたのよ」といっていただける方まで。

本当に本当にうれしい反応をたくさんいただきました。お忙しい中ご協力いただきありがとうございます。 ただ、いままでにない機能の商品なだけに、「吸えば飲めるの?」「どこから飲んだらいいの?」などのご質問も多数いただきました。 時間をかけて、Kissの機能をご説明できればと思っています。

【アンケート結果】

試作品をご試用いただいて、飲んでみていただいて「とてものみやすい」「のみやすい」 が75%、 出る量について「ちょうどよい」が77% と好評価をいただきました。 また、コップとシリコンマルチリッドのセット販売と、シリコンマルチリッドのみの販売をお伺いしたところ、ほぼ同数の回答に。 小森樹脂株式会社様のメモリ付コップ、抗菌コップに対応できることがわかりましたので、シリコンマルチリッドのみの販売に決定いたしました。 カラーのお好みをお伺いしたところ、「ナチュラル」29% 「ピンク」26% 「イエロー」17% 「グリーン」12% 「プルー」16%となり、ナチュラルとピンクの評価が高く、他の色についても多く支持をいただいていることもあり、5色販売を決定いたしました。 同時に参考出品していた「ペットボトルタイプ」 へのご要望も強く、今はペットボトルで外出するのが多い。との意見もいただき、先行してペットボトルタイプの発売を決定いたしました。

2009年より販売開始

Kiss ペットボトルタイプ については、2009年1月10日 発売。
Kiss コップタイプについては、2009年4月20日 発売。
東急ハンズ、百貨店やネットショップでご購入いただけます。

メディアで話題に

発売当日に朝日放送のニュースで取り上げられたのを皮切りに、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディアで多数紹介されるなど話題に
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